作: 甲斐 信枝
お寺の境内に立つクスノキの老木は、
ところどころ幹が腐って、大きなウロができていました。
鳥や蝶々たちに笑いものにされ
ひとりぼっちだったクスノキのもとに、
ある日、アオバズクの夫婦が飛んできました。
彼らはクスノキで暮らし始め、
夏のある日、
クスノキのウロの中で卵を3個産みました。
3羽の子供たちが成長していく様子を見守る毎日は
クスノキにとって幸せな日々でした。
ところが…
年老いて、陰口を叩かれ、
心身ともに疲れ果てていたクスノキでしたが、
アオバズクが暮らすようになって
元気を取り戻していきます。
他の誰かじゃ代わりがきかない「自分」を求められるって、
すごく嬉しいことですよね。